"鶴瓶さんは大学を出て、大阪で噺家に弟子入りした。大学時代から付き合っていたレイコさんは、四国の実家に帰り、就職をした。2人が会えるのは週末だけ。彼女が四国から飛行機に乗って大阪に出てくるのだ。近い将来鶴瓶さんが芸人としてめどが立ったら、レイコさんのご両親にも挨拶に行って結婚しようと言いながら、遠距離恋愛を続けていた。ところが鶴瓶さんは少しづつ仕事が面白くなってきた。レイコさんの寂しい気持ちを知りながらも、結婚を後回しに考えるようになっていた。ある日曜日、鶴瓶さんは、アパートにいつものように泊りに来ていたレイコさんを残し、仕事に出かけた。レイコさんはその日の午後の飛行機で実家に帰ることになっていた。さて、鶴瓶さんのその日の仕事は、あるプールでのトークイベントだった。大きなドーナツ型の流れるプールのプールサイドで喋っていると、目の前を見覚えのある女性が手を振りながら流れていく。『ん?・・レイコ?!お、お前、なんでここにおるんや?飛行機で帰らなアカンのちがうんか?』と訳が分からないまま、マイクを手に喋っていると、レイコさんが流れるプールを一周して、また目の前に流れてきた。今度は、レイコさんは両手で飛行機のチケットを持っている。『お前、何しとるんや?』とあっけにとられていると、レイコさんは笑いながら、鶴瓶さんの目の前でチケットを破いた。その後何周もレイコさんは嬉しそうに、仕事する鶴瓶さんの前を流れていたという。そのままレイコさんは実家に帰らず、鶴瓶さんのアパートで暮すようになった。突然同棲生活を始めてしまったのだ。のちにレイコさんのご両親に結婚を認めて貰うのに、ずい分苦労する羽目になったというが、それでも、レイコさんはもう帰りたく無かったのだろう。以来、2人はずっと一緒なわけである。"

帰らない: とだなのおやつ